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 6月 4日(火)  京都:拾得 「『エンケンロックベスト盤 1996~2012』発売記念ライブ!」
【出演】遠藤賢司



梅雨入りした京都の蒸し暑さで、日本最古のライブハウス・拾得の店内は、
むしむしと湿気に包まれていた。
いや、開店ギリギリまで念入りにリハーサルをしたエンケンさんの、
熱気が会場に残ったのかもしれない。

ステージ下手にピアノとエレキギター、中央に弾き語り用の椅子、
上手奥にドラムセットが設置。
ドラムの後ろの壁には「中学生円山」の宣伝用ポスターが貼ってある。


2階の楽屋から階段で降りてくるのが見える。
オレンジ色の唐草模様のシャツにダメージデニム姿でエンケンさんご登場。
ローディーさんから生ギター三郎を手渡され、何度かギターを鳴らして音を確認。

「来てくれてありがとう。
今日はエンケンロックベスト盤の曲を全部、曲順通りにやります」
おぉ~!と会場、拍手。



 ●君にふにゃふにゃ
「君にふにゃふにゃって良いタイトルだね。自分で言ってて嬉しいんだよね。
いつまで歌えるかな。俺は芸術の本分は凹と凸を極めることだと思ってるから」

あまりにも可愛い君だから
今日こそ僕に食べさせて
ああなんて 君にふにゃふにゃ

こんな素敵な歌詞を、66歳になった現在でも歌える歌手なんて滅多にいない。



●口笛吹いて
エンディングのセリフが無いバージョン.
口笛のパートはハーモニカで演奏。
楽しい雰囲気だが、演奏する姿はなかなかに激しい。
エンケンさんは演奏中は左右に体を横揺らしにリズムを取りながら、
激しい中にも楽しい絵柄を表そうと自然に体が動いているように見えた。




「今度のアルバムはジャケット写真は、自分ちの庭の柘榴を撮って。
2年前の秋に撮ったやつです。どんどん朽ち果てて落ちていった様を描いています。
iphoneで撮って昔の絵画っぽくわざと古っぽく加工してやりました。
サイン会するから買っていって下さい」


「今日サッカーの試合やってんだね。
【頑張れ日本】っていうサッカーの応援歌があるんだけど、
それがものすごくコード展開が難しくて50回くらいやったけど難しいんだよ。
やめようかなって思ったんだけど、言ったからにはやろうかな」
サラっと、当たり前のように言ったから聞き逃しそうになったけれど、
ステージに立つ為に物凄く努力をしているということをさり気無く告白。




●ラーメンライスで乾杯
「お前と俺!お前と俺の友情に!」
会場の全員を指差して「乾杯~!」と叫んでくれる。




「中学生丸山見てくれた人いますか?」
会場の反応を見て「ありがとうございます」

「あれは一人ロミオとジュリエットだと思って見て下さい。
クドカンの映画は凹と凸を極めた究極の映画だと思ってる」



「毎回言いますが宇宙開闢の時が毎年更新されてて、
138億年になったりどんどん増えたりしてるんで、
俺の【純音楽の道】という歌の中でも大変なんだけど」


「その瞬間の1個目の凹と凸を描きたいんだ。つまり男と女だね。
それが結びついて子作りしたり喧嘩したり別れたりしながら皆の形になったと思うんだ。
宇宙のドブの中にポツリと落ちて人間の形になっていったと思うんだ。
凹と凸を極めるのが本当の芸術だと思っています」


「芸術なんて言うと気障なこと言うなって思う人いるかもしれないけど、
でも、皆一人一人が芸術家なんだよね。
一人一人の純音楽が嬉しい時にはランランと悔しい時にはトボトボと
悔しい時にはコンチクショーと、皆が宇宙に生きる音楽家なんだよね。
自分の絵を描いて、描かなくても心の中で絵を描くんだよね。
自分の哲学で歩いてる」




●Who do you love! 
情熱的なフラメンコの要素を取り入れた曲。
自暴自棄になりそうな心の切なさ、やるせなさを表す様にハーモニカが吹き荒れる。



ここでトラブル発生・・・!
凄い演奏を目の当たりにして興奮し過ぎた泥酔客が、演奏中にテーブルを叩く等
耳障りな大きな雑音を発したのをエンケンさん自ら注意を促したことをきっかけに
口論へと発展してしまう。
これまで何度も穏やかに注意をして、他の観客にも気を使って
「悪い奴じゃないんだよ。かわいい奴なんだよ。気にしないで」と、
フォロー入れて我慢をしていたエンケンさんが、ついに吠えた!

「俺がどれだけ必死で練習したか知らないだろ?!死ぬ気でやってんだよ!
遊んでるわけじゃねえんだよ!」

一途に音楽を愛し、決して大袈裟でなく、
命を掛けて独りでステージに立って歌い続けてきた。
だからいい加減に誤魔化すことなど出来なかったのだ。

スタッフが仲裁に入り、反省して「皆さんすいませんでした」と頭を下げた客に、
「ごめんな」と肩を組み握手までして許す優しいエンケンさん。


会場にいる者全員が動揺しきっている。
ライブを続けるにしてもすっかりペースを乱され心を折られてしまったエンケンさんが、
これからどうやって気持ちを立て直すのか・・・。


「時々こういうのあって。やり直すのが大変なんだよね。
・・・これから【頑張れ日本】って曲をやるの(苦笑)」
笑い声と「頑張れエンケン!」と大きなエールで、会場内の気持ちがひとつになった。




●頑張れ日本 [日本サッカーの応援歌)
さっき言った通り、よりにもよって、作った本人でさえ演奏が難しいこの曲。
これまで固めてきた足場が崩れた中で、どうしても気持ちが乗ってこない辛い状況。
何度もギターを空鳴らして心のエンジンをかけようとするエンケンさん・・・。

「あんまり言うのも卑怯だし、間違っても頑張る!」
まだ動揺を払拭できないままのスタートダッシュ、
とにかく一生懸命やるしかない!我武者羅に声を枯らしてまで必死に歌う。


どうにか歌いきったエンケンさんに、ローディーさんが耳打ち。
1曲飛ばしてしまったようだ。やはり動揺を隠せない。
孤独な状況でなかなか気持ちを立て直すのは至難の業なのだ・・・。
それでも必死で頑張るエンケンの姿に、観客は惜しみない感動の拍手を贈った。




「夢よ叫べっていうアルバムの中で、【俺は勝つ】という歌を鈴木茂に弾いてもらって。
僕はだいたい、こういう音を、と頼むんだけど、
鈴木くんは自分の良い音もってるから、言ったこと全部包み込んで良い音出してくれる。
世界で一番好きなギタリストかもしれない。
よく、ザ・バンドとか言うけど、鈴木茂の方が良い音出してる。
エリック・クラプトンよりずっと良い音です。
早くそう思ってくれたら良い日本になるのにな、と思います」




「中学生円山物凄く良い映画だと思ってる。俺が出たからじゃなくて。
宮藤官九郎監督の凄いところは一人でやってるところだ。
何かに寄りかかって出してるのって多いじゃない。
レイモンド・チャンドラーの名前を出したり、好きじゃないんだよね」


「堂々と自分で、美しい日本語で中学生円山っていうタイトルをつけた時から、
凄い映画になるなって思った。
そんな堂々とした映画なかなかに無いから。
評価も他の作品に比べて低いのも凄く悔しくて。
自分で見たく無いのが上にいるような気がする」


「あまちゃんでも凄いのが、一人で立ってやってるよね。
色んな物を組み合わせたにしても、自分の中でちゃんと消化してきちっとやってる。
凄い奴だ。
だからウチに来て映画に出て欲しいって言われた時に【ド・素人はスッコンデロォ!】を
歌ってくれって言われた時に珍しい奴だなあって」



「20世紀少年の時も映画にマタギの役で出たけど、カッコイイなあって。
今度もボケ老人の役、カッコイイなあって思ったから出た。
できるかなあって思ったけど、俺が自分で普通にやってれば良いだろうと・・・」

丁度タイミング良く?後ろに貼った中学生円山のポスターが
何故か自然にベロンと剥がれる(笑)

「・・・駄目かねぇ(苦笑)」
偶然にしてもあんまりなタイミングで、会場は大爆笑!
慌てて修復に走るローディーさん。

「大人面して見ないで下さい。自分の姿だから、必ず見て下さい」




「アメリカ人だか何人だか、俺のことが世界で一番好きだって言ってくれて
見に来てくれるのがいて、良いライブハウスがあるから
アラスカでやらないかって話があって。
俺はバイソンとか麝香牛とか好きだから、オーロラよりもそっちの方が好きなんで。
もしかしたら行って・・・アラスカのライブハウスなんてカッコイイよね?!」


「当然映画を作って監督もやって。
いきなり【ちゃんとやれ!エンケン!】か【ド・素人はスッコンデロォ!】を
エレキとドラムセットのシーンで始まって、アラスカの人が「おー!」って盛り上がって。
最後は麝香牛と対決するエンケンと決めてるの。
麝香牛がぶわーって走ってきて倒れた写真と、俺が倒れて、
ああ引き分けだったんだなっていう場面を作って」


「タイトルはもう決まってて。【不滅の男~エンケン対アラスカ】!!
出来ればいいな。ニューヨークでって言われた時は、全然興味無くて。
アラスカは良いな。年取ったら行けないから、やっても良いな」




● 俺は勝つ
ゆっくり話してる内に心が落ち着いてきたか、ようやく曲に入る。
音にも安定が感じられる。先程曲順を飛ばしてしまった【俺は勝つ】を、
この時に歌うことになったのは、偶然にしてもとても意味があるように思えた。
「俺はあぁ~~~・・・・・・!!(息継ぎ)勝つうぅぅ~~~ッ!!!」と叫んだ瞬間、
炎を纏った一陣の突風が吹き抜けたような熱量、エンケン覚悟の魂の咆哮!!
今この時逆境に立たされたのは、まるでこの歌を歌う為にあったのではないのか。




●フォロパジャクエン NO.1
「これは音楽の水平社宣言です」と、一言あってから勢いに乗って叫ぶ!叫ぶ!

1曲毎に休憩を入れて気持ちを整えながらでも良いだろうに、
「16曲もあるから、バンバンいきますね」と自分を甘やかさずに突き進んで行く。


●嘘の数だけ命を燃やせ
これも正に音楽家・遠藤賢司がたった現在、自分自身の為に歌える歌詞内容!
「燃え尽きるにはまだ早い」「それまでてめえらと勝負してやるよ」等々・・・
嘘の無い本気の歌詞が胸に迫る。
己の言葉に励まされて、エンケンさん自身が活きてきた!


● 心の奥まで抱きしめて 
迸る情熱!餓えた狼が獲物の肉を引き千切るようにハーモニカに齧り付く。
相当激しい曲を2曲続けて・・・!
もう完全にテンションを取り戻し復活した!!やっぱりエンケンさんは不滅の男!!




●やっぱりあなたの歌じゃなきゃ
「鈴木茂くんがギターを弾いてくれました」
今回は鈴木さんのギターパートは、ハーモニカで表現。
3番の歌詞が新しく追加されていた。




「アルバムの曲順を決める時は、10曲ぐらいにしようとすると
どうしても削らなきゃいけなくて。
今回は【夢よ叫べ】とか【裸の大宇宙】とか省いて、
朝起きたらバッと聴いて学校なり職場なり行けるような、
そういうのが良いなと思って」


「もし、好きな曲が入って無かったらごめんなさい。
俺は自分の曲が全部好きだから、誰かに媚びて作った曲じゃないから。
自分が自信を持って作った曲だから、全部好きなんだ」


「今回は中学生円山のサントラ盤2曲も含めて作りました。
クドカンも帯に書いてくれたけど、聴きたい曲を軽く聴けるように。
エンケンを「こういう人なんだなあ」って思ってくれる人が
増えてくれるといいなあと思って作ってみましたけど・・・高望みでしょう!」




● 惚れた!惚れた! 
シングル盤収録のエレキのファズロックバージョンに負けず、
生ギターバージョンも充分テンションが高い。

「還暦になった時に記念に出したシングル盤です。
綺麗な唐草模様のジャケットで出した。
同じ模様のハンカチも作って俺も自分で気に入って使ったりして。
この前浅草で唐草模様のパンツを5枚ほど買いました。
今は履いてないけど、なんか安心するんだよね」





激しい曲が続いたせいか手の筋に負担が掛かって辛そうに、
手首をぶらぶら回しながら奥のピアノに移動。
ピアノに向かって全ての鍵盤を愛で撫で回すように即興で音を生み出す。

●美しい女(ひと)
今回唯一のピアノソロ曲。
エンケンさんの持つ幻想的なまでの女性像の美しさを優しく奏でる。
「かわいい娘だね」と、鍵盤と対話するようだ。




●純音楽の道 
また中央に戻って生ギターでの演奏。
「現在永劫と…立つ!」
自身で発した叫び声の波動で後ろ向けに倒れそうだ。




● 史上最長寿のロックンローラー
前の曲が歌い終わった時の素の状態から突然、妖怪が憑依したように
「うひゃひゃひゃひゃ~!」と嗤い声からの大暴走!いや、覚醒?!
ギターで花火の破裂音を表現して、ゆらゆらギター本体を揺らして残響を操るなど、
勢いで適当にギターを掻き鳴らしているように見えても、
実は細かいこだわりが沢山盛り込まれた曲。





「中学生円山の中で、この曲を土手に座ってラブシーンで使ってます。
映画が進む中でもう1曲静かな曲をやってほしいってクドカンに言われて、じゃあって。
【おでこにキッス】この曲好きだからコレでいきますって決まりました」


「何度も言うけど、凹と凸を究極する以外は、僕は余計なお世話だと思ってます。
上から目線なお説教みたいな歌もそうだし、映画も小説も見たくありません。
皆芸術家だもん。一人一人が必死で生きてるわけだから」


「なんかお説教っぽいのが好きな人が多いような気がする。
ただ単にこうなんだってのが表すのが凄い事だと思います。
今回のジャケットは、岸田 劉生の絵みたいにしたくって、写真を加工しました。
岸田 劉生の絵みたいに、そこにそれがポンとある、
みたいなのが難しいんだ。音楽もそうなんだ」


「象形文字で描くのが僕は一番正しくて、難しくて、大変なことだと思う。
だから日本語で歌うべきだ。自分の為に。
この国にはそれが一番必要。自分の国の言葉が滅びたら、国も滅ぶんだよね。
滅びたいんだね」


「さっき歌った【嘘の数だけ命を燃やせ】もそうだけど、
そこに怒りがあるから歌ってられるんだと思う。
もっと素直になれよ。そんなに名誉白人になりたいの?
俺は自分の言葉を表現して、歌は自分の為だから。
自分の心に浮かばない音楽は駄目だから。
それが聴いてる人にひとつの絵柄として浮かんだら、それは俺の力だと思ってる」


「芸術家なんだから芸術家、そこから皆でよーいどん!しようと思ってる。
上から目線の芸術じゃなくて。
だから俺は凹と凸をずっと描くんだ。ずーっと描くんだ。
ずーっと男と女を描くんだ。それが一番難しい。
見たわけじゃないけど、138億年の宇宙開闢一回目の凹と凸だ。
俺はそれしか見たくない。そう思って中学生円山も見て下さい。」




●おでこにキッス
木造の店内の反響で湿っぽい熱気を帯びたハーモニカの音が、
人の体温そのままのような心地良さ。




● ド・素人はスッコンデロォ!
弾き語り用セットを片付けて立ち上がり、ホワイトファルコン白鷹天轟に持ち替える。
先程の静かな余韻を早々に打ち消すエレキギターとドラム同時演奏!
限界まで高い位置に設定されたシンバルをジャンジャン叩き、
雷鳴が轟くような和太鼓のリズム。

「ド・素人はスッコンデロォ~~~・・・ッ!!」
身体が爆発して内臓がパーンッ!と飛び散りそうな絶叫!!

この1曲だけで軽く2~3kgは痩せたのでは?
演奏後はゲッソリした顔でフラフラになりながらステージを降りる。
ヨロヨロと2階の楽屋に続く階段を上る姿が痛ましい。




アンコールを催促する拍手に押されて、エンケンさん再登場。
階段を降りるのも一苦労。




●夢よ叫べ
「今度のアルバムにはわざと入れませんでした。
ベストアルバムを聴いて、一枚ずつ買ってくれるといいなと思いました。
本当はすごく入れたかったけど、今回はそれで良いと思いました」

会場にいる全ての者と視線を合わせ、大切そうに一人一人に向き合って
心を込めて歌う。エンケンさんの瞳が物凄く美しい。




●満足できるかな
珍しく演奏しながら語りだす。
「東京の地下鉄で女子高生がリュックにお守りを付けてました。
それがD-35に付いてる満足稲荷神社のお守りでした。
どこで手に入れたんだろうと思って聞きたくなりました」


D-35をわざわざローディーさんに持ってこさせ「コレです」と演奏を止めてまで
説明するエンケンさん。いつもギターの弦が切れても演奏を中断しないのに(笑)

「満足稲荷神社、京都にあるんですけど東京の女子高生が付けてました。
声は掛けませんでした」会場、笑。

ピック・スクラッチでギギギギギィ~~・・・・・・とノコギリを表現しながら、
背後に女性の気配を感じた男性が、首を切られてポックリ逝く表情まで演じてみせた。



「ありがとう!」
ギターを肩に担いで大見得を切って会場からの拍手喝采を浴びる。
叫びながらステージを降り、ふらふらの足取りで楽屋へと続く階段を、
残りの体力を使って上る。
更なるアンコールを望む拍手がいつまでも鳴り続けた。








































































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