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8月26日(金)  東京・銀座:ヤマハ銀座スタジオ(ヤマハ銀座ビルB2)
「「生!生!生!」生エンケン!!生ギター!!生ピアノ!! 遠藤賢司の生銀座!!生ライブ!!!!!!!!!!」




ステージ上手側にグランドピアノ。下手側にずらりと生ギターが数本立て置いてある。
新しいものから昔から慣れ親しんだもの、それぞれ表面板にはピックで削られた痕があり、エンケンさんの歴史を感じさせる。
まだステージには誰もいないのに、既にバンドのメンバーが待機しているような気配を感じさせる程の存在感。

今回の客席は椅子席定員96人・・・のはずが、開演までに更に一列席を設けることになっての大入り。
客入れのBGMが落ち切る前に照明が下りて、手には鉤爪ピックを装着したエンケンさんご登場。

ヘッドに“2”と付いたギターを抱き、ネックには鈴とお守りが付いている。
ギターを揺らして鈴をリンリンと鳴らして、1曲目は【猫が眠ってる】
鉤爪でギターを掻き毟らんばかりに猛烈な勢いで鳴らす!叩く!叫ぶ!


演奏後は急いでテープで貼り付けた鉤爪を剥がし、今度は“1”とヘッドにあるギターを抱く。
大きな拍手に「ありがとう」とお礼を言って、ハーモニカを次の曲用に準備をしながら、
「雨降っちゃったね。最近はいきなり降るよね」
15日福島でやった時も、エレキの時は雷が鳴って、生ギターの時はざんざん降ってずぶぬれになった。初めての体験でした」



「今日はヤマハの・・・」とステージ上にあるギターを紹介しようとして、ふと「別に今回の会場がヤマハだからと媚を売るつもりは無くて。僕は本当にヤマハのギターが大好きで」


「1966年に18000円の月賦、月々1800円の10回払いでミドリやで買った、これが僕が初めて手にした、買ったギターです。その前は古賀ギターを弾いてたんですが。
『マーティンにそっくりな、ヤマハのギターがでるぞ!』ということで、
皆で待ってて。発売日当日にこれを買いました。」


ギターのヘッド“1”を指し「これはヤマハの一郎くんです」会場、ふふふと笑い声。
「これで作ったのがさっきの【猫が眠ってる】と今からやる【ほんとだよ】です」


【ほんとだよ】



「このホールは佐野史郎くんと山本恭司くんが小泉八雲をやって、それを見に来て、良いなあと思ってて」



「次の歌は【雨上がりのビル街】と言いまして、松坂屋か松屋の4丁目の角をもっと行ったところの、そのデパートの後ろのところにある・・・松屋か松坂屋かどちらか、いつも混乱するんだけど。
テレビ中継でせんだみつおが司会をやってて、それに出たことがあります。
多分京橋の方に向かって行くと右側に加藤さんというガラス屋さんがあって、その人は昔アップタウンジャンボリーと言って、学生主催のコンサートをやっててその親分だったんだけど。
その人の家にチケットの売り上げ代金を持って、皆手売りだったんだよね。確か入場料が100円か150円くらいで売ってて。
それを待ってる時にそのガラス屋さんの、小さい路地でガラスが並んでて土間みたいなとこに座ってて、雨がパラっと降ってすぐ止んで・・・その時に作ったのがこの曲です」


【雨上がりのビル街】
照明が上からは穏やかなブルー、横からは優しい薄いオレンジの照明。
ギターを優しく揺らして音の波紋を広げていく。
先程の激弾きと同じ手で奏でているのが信じられないくらい、優しい手つきでギターを撫でるように音色を奏でる。



「ミドリやで買ったのが一郎でしょ。次郎は【猫が眠ってる】で使って・・・これが三郎です。
この前福島でこの三郎を使ったんだけど、ずぶ濡れになってしまってもう使えないんじゃないかと思ったんだけど。ホールの中も水が入ってしまって。
ハーモニカを入れるプラスチックのケースにまで水が2センチくらい溜まって。
こんなとこで歌うんだ、でもやるしかないなって必死でした。お客さんもびしょ濡れだしもう逃げられないなあって。
そしたら係員のひとが待ち構えてて【外は雨だよ】って曲の後に引っ込めてくれて、実は心の中じゃ嗚呼良かった!と思いました。」



「坂本龍一くんとは25年ぶりにお会いしました。
確か俺が覚えているのは・・・これから戦場のメリークリスマスに行くんだって、六本木で会ったんだけどその時はツルツル頭で。
それっきり会ってませんでした。だから嬉しかった」



「近所にアシベと言うロック喫茶があって。
そこでグループサウンズの確かオリーブというグループだと思うんだけどショーケンに似たボーカルの人がいて、女の子がきゃあきゃあ言ってて、アレは好いグループだと思いました」



「輸入盤を売ってるって言ったらもうヤマハしかなくて。
一階に売り場があって、僕は昔から遠藤賢司の音楽だって言ってたのを聞いてたのかもしれないけど、色々日本の所謂フォークシンガーとか並べて、ちゃんと『遠藤賢司』って名前を付けて売っててくれたのが凄く嬉しかった。
輸入盤はここで取るしかないから、ドアーズだったかなあ?初めて航空便が3000円で船便が2500円で。
でも船便だと一ヶ月はかかるんだよね。だから皆迷って『じゃあ航空便だったら一週間!』とか僕なんかお金が無いから『500円でも安い方が良いや』って船便で取り寄せたりして。

お店の一階にレコードプレイヤーが並んでて、試聴できるんだよね。
ドアーズでもツェッペリンでもジミヘンでも、向こうでこんな新しいレコードが発売されたってヤマハがまず入れて、皆でコレ良いなあなんて聞き比べできるコーナーがあって当たり前のように入り口に入ったところにあって。
今思えば良い風景だったなあ。それだけのんびりしてたのかしらないけど。可愛いよね。
皆音楽が好きで集まって、なんか同じ奴がいつもそこにいるんだよね。中川五郎とか洋楽が好きだからいたり、高田渡もいたかな。」


「ウッドストックの初めての映画の試写会をここで見たり。ここはもう改装してあるから、地下なんて無かったような気がするけど・・・。
7階か6階に映画館みたいな400人くらい入れるスペースがあって、映画の試写会なんかそこでよくやってた。
あとはロックコンサート、僕も出してもらったりしました。」



【外は雨だよ】
リズムに乗って照明が点灯し、ステージに雨の情景を描く。
何度となく演奏された曲なのに、初めて聴くようなアレンジが施されている。
遠藤賢司とはつくづく、表現に対する追求心が枯れないアーティストなのだ。
これまでこの曲中には色んな猫が登場したが、今回は墓場の花一輪・猫のみいこちゃんが登場。


「歌詞の中に『コーヒーポットがうるさい』ってあるんだけど、この前飛び降り自殺をした中村とうようさんがくれたもので、下からアルコールでしゅしゅしゅって沸かしてあったかいんだよね。
今も家にあるんだけど、やっぱり火は良いね。
中村とうようさんが5~6人くらいに引越しするから手伝ってって呼んできて俺も呼ばれて。
お礼に何が良い?って聞くから、皆は遠慮して言わなかったけど、俺はコーヒーポット下さいって。貰って帰ってきた。
コーヒーポットがシュッて言うと、FENラジオ、今はAFNラジオって言うけどそれが聞こえなくて、シュウーーッてうるさくてそれを情景に入れた。」


「1曲目にやった【猫が眠ってる】も中村とうようさんが、俺が借りたんじゃないけど加藤和彦くんが『中村さんの家にタブラがあったなあ!』って。
その当時民族楽器店なんて珍しいからタクシーで取りに行って、東芝の、赤坂のスタジオで『コレ入れよう!』って持ってきて。
1969年の僕のデビューシングルだったんだけど楽しかったな。
早川義夫くんが鈴を持ってチリチリチリ♪ってそこいら辺を這いずり回って猫の音を出したり。
結局そのタブラは加藤和彦くんが割ってしまって、とても珍しいタブラだったので、いつ事務所(高石音楽事務所)に行っても、押入れ開ける度にそれが眠ってて、誰が謝りに行くんだろうって怖くて(笑)
俺もずるいんだけどね。それで事務所ととうようさんがタブラを巡って大喧嘩になって。
俺が謝ればよかったんだよな~でも勝手に加藤くんが借りてきたんだよなって思うところがあって」


「加藤くんも亡くなってしまって・・・。加藤くんが坂崎幸之助くんと二人で出した、和幸というバンドでカレーライスを歌ってくれた。
僕は全然知らなかったんだけど、すごく良くて。コーラスが綺麗で、CSNYが歌ってるような感じで。
わざとそういう風に作ると臭くなるんだけど、あれはそうなってないから良いなあと思って。
僕はちょっと・・・加藤くん・・・って思いながら、聴いたりするんだよね・・・」


【歓喜の歌】


「僕は音楽は一人芝居だと思ってます。
何故そう思ったかというと、NHK-BSで昔の帝国劇場の芝居の放送があって。
ジンとするのは、役者さんがどんなに静かな場面でも、汗を流してるんだよね。これは映画には無いことだよな。映画の人は汗を拭いちゃう。
でも舞台の人は、静かな場面なのに汗がダラダラ出てるんだよね。
俺もそうだけどやっぱり一人芝居は良いなあ。
俺もいつかはやってみたいなって思ったんだけど、よく考えたらいつも一人でやってるんだよね。
でも本当、いつかは踊りと台詞だけのやつをやりたいなと思ってるんだよね。
思ってるんだけど、『やってみたいなあ』って奴は才能が無いんだよね。『やりたい』って奴はやってるんだよ。
それは俺が音楽をやってるから、弾けたらいいなって思うからやってるんだよね。そういうもんだ。
だから僕は芝居よりも音楽の才能があるんだなと思って『一人芝居はいつもやってるじゃないか』ってカレーライスも何でも、一人で情景を作ってたった一人でやってるんだから、偉いなァけんちゃんは。って思いました」会場、笑。

「結局俺を褒めてるんだ。最近、寂しい時はいっつも自分を褒めるようにしてる。」


「来年の1月13日僕の誕生日に新しいアルバムを出します。クアトロで色んな人達を呼んで、発売記念コンサートをやります。」



ステージを見渡して「そろそろ並んできたでしょうか。ちょっとギター照らして下さい」スタッフさんに指示。

「後ろのやつがマーティンで・・・その隣がネックの太い練習用の、5弦と6弦が0.56の太いヤツを使って。自分の部屋で弾いてるとすごく良い音がする」などなどと各ギターを紹介。

その中の1本に「修行中」と書いたギターが。
「コレは最近買った一番新しいギターで、四郎くんです。そういえば岸部四郎くん元気かな。じゃあこれ岸部四郎にしようかな。」会場、笑

他にも岡林D-35くんや、一番高価だと言う親戚の方に借りた1950年代のD28Sなどを紹介。

「こんなに生ギターを並べているのは久しぶりだから、ちょっと嬉しいような・・・気がします。
全部で7台持ってきて、使わないギターもありますがとりあえず並べて自慢します」会場、笑


【カレーライス】


「福島のコンサートでも話したんだけど、3月21日に僕はBYGで所謂売り上げを赤十字に全額寄付するコンサートをやって、その日の雨はすごく、熱かったんだよね。
黒い雨だったんだよね。外に出て手に当たって熱いな、と思ってなんだろうって。
その日は凄く沢山放射能が降ったらしい。でもその時に来てくれた人も沢山います。ありがとうございました。

その時思ったのは、僕はプロです。だからタダで歌うのはやめようと思った。
それでミチロウから声を掛けられて、う~んどうしようって。
ミチロウとは遠藤兄弟です。お断りしますが、僕は別に、僕のやり方で良いと思います。


一人ひとり、無理しないでいきましょう。反対運動も、僕は自分のブログでちゃんとやって、コンサートをちゃんとやって。
一人ひとりが出来ることをちゃんとやって、一人ひとりがちゃんと食べて生き残りましょう。

出ないと戦争中の、声高になんか皆が『国がこうだから!』って一緒にまとまる事は僕は嫌いです。それだけは避けたい。

僕は戦争中に生まれた訳じゃありません。でも多勢に無勢が一番怖いな。
そういう時は、ちょっと離れて、多勢の方を見たほうが良いかもしれませんね。
その中には臭い奴もウジャウジャしてます。

だったら僕は敵は分かってるんだから一人で東電に突っ込んだら良いと思います。
東電に行って自分のうんこを投げれば良いんです。
自分の家の土を東電に投げつければいいんです。
そしたら僕はそいつは偉いな、と思います。

ただ自分の主義主張を他がやらないからって多勢の方から個人を『なんだあいつは』って見る人が僕は一番嫌いです。
皆一人ひとり生きてるんだ。僕はそれで良いと思ってます。

自分が食えなきゃこの国は死にます。
でもテレビを見ると・・・最近やっとテレビを見れるようになった。ずっと怖くて見れなくて。
そしたら小学生の女の子が『私は結婚出来ないの?』って泣いちゃうよね。そう思っちゃうんだろうね。
全然関係無いのに、子供がそんな風に思うって悲しいよね。最低だよね。

僕の意見としては、ちゃんと話を聞いて、一部だけ取り上げずに言ってほしいなと思います。
福島の時ミチロウに言われて困って・・・困ったんです実は。でもミチロウが言うんだからやろうって。

15日当日日帰りしたんですけど、遠くにあだたら山が見えました。
ミチロウだけが福島で生まれた訳じゃないですけど、やっぱりなんかしようって思うのは、顔が見えないと出来ないよね。
本当に親しい人がいない限り、僕は無理する必要はないと思います。
ミチロウが『あそこの山は皆乳首山って言ってたんだよ』って。良い言葉だなあ!
男の子が恥ずかしながら猥談の一つも謳った、みたいな感じで夕焼けに照らされて走りながら、そんな思い出が全部消されてしまうのがすごく悲しい。
だから自分の為にも、福島でやってよかったと思いました。ただそれだけです」


【僕は涙がこぼれて落ちた】


「今度のアルバムに入れる、今日初めてやる曲です。
突然1週間位前に、前のアルバム『君にふにゃふにゃ』の中の【僕の音楽は本当にいいの】っていう曲がレコーディングの朝に出来た曲で、これも朝ではないですけど、何でか分かりませんがポンっと出来た曲です」

【心の奥まで抱きしめて】激しいストロークで奏でられる切ないラブソング。


「今のはこれから録音します。既に録音が終わったのをやります。
バンドでやろうと思ったんだけど、結局グレッチのホワイトファルコンを使って。
ドラムも一人で入れたんですけど、【ド素人はスッコンデロォ!】の時はギターを弾きながらドラムを叩いたんだけど今回は別々に録って・・・まああんまり種明かししても仕方ないけど。
でもドラムだけで1分やったら死にそうになりました。でも気持ち良かった。
やり直しもあったので、多分100Mを8回くらい入った。ふらふらになりました。
レコーディングスタジオまで幸せにも自転車で30分位で行けるので、その録音の前にはスイスイ乗れた坂道が、次の日は足が突っ張って登れなくなるくらい叩きました。
本当はエレキですが今日は生でやってみます」
【ちゃんとやれ!】


「ピアノをやります」下手側グランドピアノに移動。


ハーモニカ入りピアノ弾き語り、新曲【ダンダダダンダダダンダダダン】
両の手を握りこぶしにして鍵盤に叩きつける!


不協和音を響かせたかと思うと繊細な【もうちょっと頑張ろう~みんなでお花見に行こう】

【君は僕の人魚姫】新曲【美しい人】と美しいメロディーを奏でたりと、予定調和の無い先の展開を読ますことがない。
観客は余計に必死に音に噛り付くように集中、一生懸命にエンケンについていこうと緊張感を増す客席。


中央に戻ってギターを抱え先程の曲紹介の後、【君にふにゃふにゃ】

【踊ろよベイビー】

【満足できるかな】をノンストップで演奏。
エンケンが息つくのが先か、ギターが壊れるのが先か?!ハイテンション・ジェットコースターだ!!


ギター交換した後、更に激しい【夜汽車のブルース】
闇雲にただ激しく適当にストロークを繰り出しているように見えるが、実は新しくメロディーに変化を付けている箇所もあった!

ポッポー!!の雄叫びと共にピックがビュン!と上手側にまるで手裏剣のように飛んでいったと同時に、パーン!とギターの部品が弾かれる!!
4弦のブリッジピンが折れて大きく弧を描いて落下。
今まで演奏中に弦が切れた事は幾度もあったが、ギターの部品が壊れて宙を舞った瞬間を見たのは初めてだ!


エンケンさんご退場。


会場拍手鳴りやまず、Tシャツに着替えたエンケンさん再登場!
興奮してステージに駆け寄ってきた観客と握手。
ファンの声援に「ありがとう!」と応えながらギターを抱え【夢よ叫べ】

背景には大きな満月の照明の演出を背負って、ラスト絶叫大回転はゆっくりぐるりぐるりと、2回転に成功!!

ギターをゆっくり降ろしスタンドに立てかけた後、「フンッ!!」と大見得を切ってポージング!
観客の拍手喝采に包まれ、客席中央から出入り口まで一直線にダッシュ!しながらの退場。

客出しのBGMが会場に流れるもアンコールを求める拍手鳴りやまず、エンケンさん再登場。
女性ファンからの花束が贈られる。嬉しそうに笑顔で受け取り、グランドピアノの前に座って優しく笑って短くピアノ演奏。
「今日はありがとう。またね」

そしてまた人が変わったように大見得を切って会場中央から猛烈ダッシュで退場。生!生!生!ライブ無事に終了。

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