忍者ブログ
[33] [32] [31] [30] [29] [28] [27] [26] [25] [24] [23]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2月16日(木)  京都:拾得
「生誕65周年!それがどうした!『ちゃんとやれ!えんけん!』CD発売記念ひとり旅」
【出演】遠藤賢司  

エンケンさんがツアーで京都にお越しになる日はいつも、必ずと言っていい程雨か雪に見舞われる。
今年も今にも泣き出しそうな曇天の空の下、ツアー初日を迎えることとなった。

開演時間5分押し程で、会場の照明が下りて二階の楽屋からエンケンさんご登場。

ローディーさんから、グレッチ ホワイトファルコンを手渡され、
観客に背中を見せた状態でアンプと向き合って奏でるは【為に、音よ言葉よ俺の心に突き刺され】
アームをグワングワン掴み揺らす度に当たるギターのボディーの音が、
エンケンさん自身の決意と向き合う静かな力強い独白を通じて
「お前、ここにいるのか?いるなら出て来いよ!」と心の扉を激しくノックされて
自分の存在を問われているような気がした。



歌い終わり、観客に顔を見せると、静かに見守っていた観客から大きな拍手。
そのまま続けて【ちゃんとやれ!えんけん!】

白グレッチを掻き鳴らし、ツアー初日のまだライブ始まって冒頭だと言うのに、
出し惜しむ事無く血を吐きそうなほど自身を叱咤する絶叫。
ワンコーラス分歌い叫ぶとドラムに移動し、ギターを鳴らしながらの同時演奏が展開される!
ハイハットの位置が異常に高い。和太鼓のばちのようにドラムスティックを片手で2本握り、
ビシッと天高く腕を伸ばして頭上に設置されたシンバルをジャンジャン叩く!


ドラムは和太鼓のリズムで低く響き、まるで神聖な村の祭事のような光景。
太鼓の大音量で雷鳴を真似るなどで、実際の雨を誘おうとする古より伝わる雨乞いの儀式ような。
エンケンライブの際に必ず雨が降るのは、エンケンさん自身が雨男だとかそんなせこい話ではなく、
演奏そのものが神仏に芸能を奉納して懇請する雨乞いのようなものとして、
天に通じているのではないかな・・・
過去、ライブ後には局地的な雹が降ったということもあったし、自称「天変地異男」は大げさではあるが、
あながち間違ってもいないように思えてきた。




「今日は来てくれてありがとう。明日はファンダンゴでやるので来て下さい。
この前沖縄でも初めてやったんだけど、ずっと長い音楽人生でアルバムを全曲、
丸々やるのは初めてです。今日もアルバム全曲やります」
エンケンさんにとっても今回は特別なツアーとなるのだ。会場、拍手。



「1曲目にやったのは【為に、音よ言葉よ俺の心に突き刺され】という曲で、エンケンの決意を表した曲です。
録音の時は小さな部屋にこのフェンダーのアンプなんですけど4発入りで。
外の方にマイクを引いて。グレッチのホワイトファルコンというトレモロアーム専用の、
マイクを置いて録音しました。
どうやって録音したのかコードがよく分からなくて、ブルースコードはブルースコードなんですけども。
ハーモニカのところは阿部薫に負けないようにと思って、それがずっと念頭にあって。
これが僕は本当のブルースだと思うのですがいかがでしょうか」
会場、拍手。



「アメリカの南部のクロスロードに立ってとかってブルースを語る人がいますけど、
そんな人はもういりません。自分のブルースをやりましょうよ。
僕はこうやって自分のブルースをやっています。
それがみんなの評価に繋がるというか、評価を付けられるから、僕はこれで勝負していきたい。
物真似じゃなくて、自分のブルースを歌っていきたい」



「ブルースというと思い出すのは・・・別に名前を持ち出しすのは嫌いなんですけども。
練習してて思ったのは忌野清志郎が、僕が水戸で見に行った時に『日本で一番のブルースマンだ』って。
客席で見てたんだけどずっとステージで言ってくれて。
その時、それが半分くらいの言葉だったんだけど、本当に俺はそうなのかもしれないって思ってきた。
それがきっかけじゃなっくって、よく考えるとずっとブルースをやっているなって。
ブルースだからどうのこうのじゃなくて、良い音楽だったら何でもいいと思ってますけど」



「その次やったのがアルバム表題曲の【ちゃんとやれ!えんけん!】という曲です。
アルバムの中でドラムを後から入れたんですけど、100mなのに200m全力で走ったような、
5回録りました。心臓が止まりそうでした。これもホワイトファルコンで一発録りで後からドラムを入れて。
今度のアルバムは10曲ありまして、帯文字も自分で考えて
『ハードロックとピアノ曲と夢よ叫べ 全10曲』です」



「これから聴いてもらうのは、【もうちょっとだけ頑張ってみようかな】という曲なんですけども・・・」と、
曲の解説をし始めるが・・・

「3月11日にアレがあって、14日に放射能が降ってきてるらしい・・・
実際降ってきてたみたいなんですけども、
俺はもう音楽出来ないなあと思った時にピアノを弾いて、庭を見たら墓場の猫のみいこが・・・」

当時の気持ちを思い出してこみ上げてきたのか、グッと言葉に詰まって上手く言葉にならない。


「レコーディングの時は、大体基本コードはあるんですけど、思うがままに弾いてるので、
同じようには弾けません」と、ピアノに移り、
【もうちょっとだけ頑張ってみようかな …2011年3月14日月曜晴れ…】


「皆でお花見に行こうって言ったのは、家によく友達が集まってお花見に行くんです。
そのときに本当に、お花見に行きたいなあって思ったんです。
夢であってほしいってそういう悲惨な事は、嘘であっても夢であっても無くなることは無いって
分かってても、夢であってほしいなって思ったことも、歌を作る要因になりました」




ローディーさんから生ギターのヤマハFG-180一郎を渡され、チューニングのチェックも兼ねて
ポロポロと爪弾きながら、ポロリポロリと呟くように話す。
「皆様のおかげではありませんが、今度のアルバムはとても評判が良いです」会場、笑。



「一番嬉しかったのは、BURRN!というヘビメタ専門雑誌に載せてくれて、とても褒めてくれました。
いつも言いますけど僕はハードロックもヘビメタも好きで、どんな音楽の形態でもちゃんとやってる音楽は、
人の心を打つハードロックだと思っています。
でも形としてのハードロックは好きです。トニー・アイオミのギターが凄く好きです」


「買ってって下さい。自分で書いてきました」と言って、ダンボール製手書きPOPを掲げる。

この裏側にはCDジャケットが貼り付けてある。
それを見せながらジャケットについて。



「良いでしょ?別に英字表記でも良いんだけど何で向こうっぽいデザインばっかりにするのかなって。
例えば、被災地の人を勇気付けるとか言って、なんか嘘っぽいんだよね。
嘘っぽくても喜ぶ人がいるなら良いけど、この期に及んでもうそんなのはやめろ!
ちゃんと伝えるなら、こういうしっかりしたジャケットをつくりませんか?」


「一番聴いてほしい人に、とりあえず、日本の人に聴いてほしいでしょ。
僕は日本で戦いたいんですよ。時々激しい外人が来てエンケン凄いな!って帰っていく人がいます。
そんな人がこれからどんどん増えていきます。僕はずっと迎合してないからです。
向こうの人が聴こうが聴くまいが、関係無い。俺は自分の為だけに歌ってます。
でも本当は日本の奴に聴いてもらいたい。そこから勝負したい・・・!
・・・アルバム買って下さい!!(凄く力いっぱい)」


力説に会場拍手。
「・・・自分でも説得力あったな(笑)俺はこれで食ってるから。
買ってって下さい。命がけで作ってますから。
どんな仕事でもそうですけどね。例えば原発の中で働いてるや、ヤクザ、スパイだろうがなんだろうが、
一生懸命に働いてるよね。命がけで働いてる奴はとても良いと思う」



「ちゃんとやれって俺に言ったのは、俺の為に歌ってるってことは、全部俺の責任になります。
人の為に歌うなんてとんでもないと僕は思います。余計なお世話だと。
皆必死で自分の為に働いて、それを見た人が見た時に『カッコイイな!』って思ってくれて
生きる糧になるだけだと思います」




「みいこちゃんは今日も元気で、繁殖に励んでいます。すごくモテモテなんだよね!
俺のブログ見てくれたら分かるけど、みい子ちゃんって言う墓場の陰華一輪って僕は呼んでます。
みいこちゃんはまったくそんなこと知らないんだよね(笑)
本当にモテモテで、外を見たら必ず誰かがみいこちゃんに迫ってるんだよ!
墓場は番長の争いが凄いよ!昨日は黒鉄兜ってのが元気に家に来て、
この前みいこちゃんに迫ってたのが、目の下ら辺がグサグサになってるんだよ。
アブドーラ・ザ・ブッチャーとかそんな顔になってて。凄いよ猫は。本当に適わない。
本当に命がけで生きてる。女の子に迫るのも本当に命がけだしね。カッコイイよ」




ヤマハFG-180二郎で【僕は涙がこぼれて落ちた】




「震災の後に東京で騒音寺と対バンの機会があったんですけど、高速道路も通ってないし
ガソリンも無いからもしかしたら騒音寺は来れないんじゃないかって言ってたんですが来てくれて、
一緒にハーモニカを吹いたりさせてもらった。とっても嬉しかった思い出になりました。
騒音寺の誰かに会いましたら、よろしくお伝え下さい」




「この歌は歌ってると時々ピッタリなんで怖いなあと思います。
28歳の時に作ったからもう、35年くらい歌い続けてます」
同じく二郎で【歓喜の歌】


続けて【カレーライス】




「僕は結婚式とか呼ばれて歌うのが凄く嫌いで。必ず呼ばれると歌ってくれって言われるから、
会費を払ってなんで歌わなくちゃならないんだ」会場、笑


「皆ケチだと思ってんでしょ?歌うからにはちゃんと練習して行くから・・・楽しくないんだよね要するに。
どうせ結婚式行くんだったら、わあっって楽しくしたい。お酒も飲めないから。
飲めるんだけど、喉が潰れちゃうから、何の為に会費払ってんだよって。
その上出番までじっと待ってるなんてとんでもねえや」


「ウチの姪っ子が結婚式で、歌ってくれって。まいったな~と思ってヤダって言ったんだけど、
多分通じないんだよね。妹が来て歌えばいいじゃない!って。妹は凄く良い奴なんだけど。
親戚がいて嫁さんがいて、僕は歌うからにはやっぱり練習して行くから、必死で歌うからマイクも無いから、
お願いですから前の方に来てくださいって言っても、親戚はマイクなんか無くても良いって思ってんだよね。ただ歌えばいいと。そうすればレコードが売れるだろうって、買いそうな奴は一人もいないんだよね!
なんか●●に勤めてるって奴が来て・・・うるせえ!どうでもいいよ!
そういう奴に限って「おお~。歌ってるんだってねエ~なんかあったら手伝ってあげるよォ~」って、
お前なんかとは口もききたくない」

一人の芸術家とそのご家族さまとの間の苦悩(笑)毒舌に会場は大爆笑。
個人情報が含まれてヤバイので、いちおう伏せておきます(笑)


「そんなに悪い奴じゃないんだろうけどね。でもそういうのが偉いと思ってるんだよ。
俺はちゃんとやってる奴が偉いしカッコイイと思ってるんだけど。
マイクが無いからこっち来てくださいって言っても「行かないよォ~」」って。嫌になっちゃった。
結局夢よ叫べを歌わせられて必死でやったらその偉いとかいう奴も「おおっ」て顔して。
ちゃんとやれば少しは、バカにも分かるんだな」

毒舌オンパレードで会場ウケまくりです。



「俺もそうだよ。例えば、別にバカなんて思ってないし良い子だと思うけど、しずちゃんとか。
俺も含めて馬鹿なんだよ。皆馬鹿だから、それが可愛いから歌ってるんだよ。
一生懸命やってる奴はカッコイイよね」



「最近良いなって思ったのは、フィギュアスケートのまおちゃんだね。
クルっと回ったところが良い顔してて可愛いよね。回転の途中の写真が必ず出てくるんだよ。
アレが良いなあ!って。今まで見せなさ過ぎた。ああいうのをどんどん見せていった方が良いね」



「皆苦労してやってるんだよ。学校じゃないんだからね。
学校行ってすごく勉強してるんだけど全然勉強してないよってやってるくせに言う奴いるじゃない。
俺はそんなのいらないって思うんだよ。
実社会出てきたら、おおっちゃんとやってるなって俺も練習何度でもするよって、
良い顔見せてくれる奴が本当に偉いと思う。
俺もそうだし、皆が一生懸命やってるなって金払うんだよね。一人一人家帰ったら、皆大変だものね」



苦労して傷ついて、大変な思いで生きているからこそ共感できる【不滅の男】
ヤマハFG-180三郎で高らかに歌い上げる!力が入りすぎてバキバキ弦が切れる!
客席からの「天才!」の声に、嬉しそうにフッっと嬉しそうに口の端を上げた。



遠からん者は
音にも聞け

近くばよって
目にも見よ

我こそは
千代に八千代に

我が代の男

姓は遠藤
名は賢司

人呼んで
天下御免の純音楽家

エンケンなるぞ!

して拾得64!

エンケン1月13日をもって65!
それがどうした!

ちゃんとやれ!エンケン!!




1973年からスタートした歴史あるライブハウス拾得。
今回だけの特別な口上を、拾得店主であるPAのテリーさんに「忘れませんでしたよ!」

「別に頼まれてやったわけじゃなく、練習の時聞いたらそうだって、でも本番で忘れるよって
言ったんですけど忘れなかった」満足気なエンケンさん。



「さっきここのパンを買って食べたんですけど、すごく美味しかった。やっぱり愛情があるんだよね。
音楽もそうだけど、作って美味しいよ!食べて食べて!っていう味がした。
料理が美味しいのは最高だよ!テリーさんと奥さんにも拍手を」会場、拍手。
拾得は創業以来、手作りのメニューにも工夫を凝らしたこだわりの、ちゃんとやってる良いお店です。




「エンケン&アイラブユーで【 心の奥まで抱きしめて】を、エンケンバンドでは【俺が死んだ時】と
【 ブルースに哭く】をやって、山本恭司率いるWILD FLAGは 【エンケンがやってくる!】と
【ア!ウ!】を手伝ってくれて、山本恭司は【夢よ叫べ】でもの凄いリードギターを弾いてくれて。
WILD FLAGは 満園兄弟は名古屋出身ですごく背が高くて、ライブやってると悔しくてね。
二人とも凄くイケメンだからモテるんだよね。
やっと僕もイケメンを従えて歌うことが出来ると思って嬉しかった」



「【エンケンがやってくる!】って曲は本当は【帰ってきたけんちゃん!】っていうタイトルだった。
目の手術をして帰ってきた時に【帰ってきたけんちゃん!】にしたんだけど、
曲が出来たらこっちの方がいいなあと思って。帰ってきた用心棒みたいなところもあって。
13日の金曜日にエンケンがやってくる!みたいなのも良いなあって思ってそうしました」



「日本のロックバンド皆凄いんだよね。頭脳警察の【悪たれ小僧】とか、
セックス・ピストルズなんかとっくに抜いてるからね。
日本のバンドとか、別に意識しなくていいんだけど、もっと大事にしてほしいなという思いも込めて。
「死んだ時分かるだろ!」って皆の気持ちを代弁して・・・まあ、俺がそう思ってるんだよ。
俺が死んだ時に「エンケン、ちゃんとやってたな」って思ってくれるかどうかが、
俺の勲章が貰えるかどうかの境目だと思ってる。CD買ってねその時は。そういう歌です」



生ギター二郎で【エンケンがやってくる!】と【俺が死んだ時】を2曲続けて演奏。
「俺が死んだ時、俺の凄さが分かるだろう!」と、何が何でも認めさせてやる!!という気迫が
ビシビシ伝わってくる。太い弦もビキビキ切れる!!



ライブ終了後にサイン会をやるから新譜を買って下さい、というお願い。でも写真撮影はナシで、とのこと。
「あんまり好きじゃないんだ。撮った時に必ず、失敗したからもう一枚ってなるじゃない。
アレが嫌なんだよ。一回目に凄く集中してるから、気が抜けてるヤツが流布されると嫌だから。
名前も漢字はやめてね。めんどくさいから」
言い放ってもすぐに「・・・偉そうだね。ゴメンね」と可愛く謝るところが憎めないエンケンさん。
勿論ライブ終了後は、優しくファンサービスに出来る限り応えていらっしゃいました。




「1月13日にクアトロで三回目の純音楽祭をやったんだけど、戸川純ちゃんと
大槻ケンヂくんがきてくれて。
純ちゃんは腰が痛くて、それを治す薬を飲んだら腰がより悪化して、
椅子に座って【不滅の男】を歌ったんだよ。純ちゃんが弱ってるって状況を聞いてたから、
不滅の純ちゃん♪って歌詞を変えて歌った。彼女はその部分が凄く好きだったんだって。
若い時にオーディションか何かで歌った後に「キミはもっとこうしなきゃダメだよ!」みたいに言われて
「お前に何が分かる?!私は私だ!」って言った時の気持ちそのままの歌詞だったんだって。
ミチロウと回ってる時も歌ってるって噂では聞いてたから、不滅の純ちゃんって。
そしたら腰がもう痛くてフラフラなんだけど、声は枯れてたけど一生懸命歌ってくれて、
心が伝わってくるんだよね。ググッって立ち上がって一緒に歌ってた。可愛かった。嬉しい。
一生懸命やってる奴は良い!」



「韓国のキック・ボクシングの映画があって、その中で韓国語でオギャー!!って叫んでるのがあって、
良い声だなあって思ってそこから【 ブルースに哭く】って曲ができたとも思ってます」


「【 心の奥まで抱きしめて】という曲はアルバム制作の3週間前くらいに出来た曲です。
ライバルとしては、郷ひろみのアチチとか、その辺の曲です。日本のポップスの人は凄いんだよ。
別にフィンガー5は嫌いじゃないんだけど、向こうの要素が入ってるから良いねって
ロック好きが言ってたような気がする」


「俺は田原俊彦とか昔の松田聖子とかキャンディーズとか、あの辺の方が優れてると俺は思ってる。
外人の曲よりも、素直に聴いたらこっちの方がずっとカッコイイよ!」俺は洋楽もいっぱい聴いてるし、
あんまり喋らないようにしてるんだよ。だって日本の曲良いのがいっぱいあるんだ。
ニーナ・シモンの奇妙な果実とか、どうでもいいんだ。
だったら青江三奈の【眠れぬ夜のブルース】とかの方がよっぽど良いよ。本当に良い声してる。
小坂一也の【監獄ロック】なんてプレスリーよりずっと上手いよ!」



「最近亡くなった芦野宏も、昔のシャンソンの人って本当に丁寧に歌うんだよ。
フランス語だけど、それは欧陽菲菲やテレサ・テンもそうだけど、
一生懸命に日本語で歌ってくれたってことと一緒なんだよね。
一生懸命伝えようとする!だから欧陽菲菲もテレサ・テンもウケたんだと思ってる。
アグネス・チャンもそうだ。一生懸命伝えようとする気持ちだよ」


「韓国ブームが来たのもそこだよ。
俺はあんまり興味ないけど、好きな韓国映画はある。
出演してる人にも興味無いんだけど、なんかアイドルが日本の女の人に
「貴方が生まれてくれて嬉しいデス」とかって言うんだってね。それは努力の結果だなあと思った。
まあお金儲けようって気持ちもあると思うけど、一生懸命に伝えようという気持ちが、
やっぱりウケたんだろうね。大事なことだね」



「日本の昔の、キャンディーズとかトシちゃんとかハッっとしてグーとか、哲学だよ!
男の子女の子とか、宇宙のプラスとマイナスが引き合う哲学だよね。カッコイイし上手いよ!」



生ギター三郎で【 ブルースに哭く】続けて【 心の奥まで抱きしめて】
弦が切れたので一郎に交換。エンケンさんにしては珍しく演奏を中断。
その様子を観客はじっと静かに見守っている。こんな時、大体拍手が起きたりするが、
イヤ、ここは盛り上がるようなところではない、という決して雰囲気に流さない重く厳しい
独特の観客態度が京都という地にはある。


「ハーモニカが間違ってて、丁度ところで切れたから良かった」と生ギター一郎に交換して再度、
失敗を取戻そうとするかのように喉も裂けよと叫び、唇が腫れて切れそうな程
熱を帯びたハーモニカの音色をぶつけてくる!!演奏後、会場からは大きな拍手!!




叫びすぎて限界が近いガラガラの声で、
「次は【ア!ウ!】【君にふにゃふにゃ】【踊ろよベイビー】【満足できるかな】と続きます」と、
まだまだ先が残っている事を確認して宣言する。頑張れ!と励ますような拍手。



「【ア!ウ!】はほとんど一発録りでいけたんだよね。あともだいたい一発録りに近いものが多いです。
【 ブルースに哭く】は後からリードを入れました」



「【 心の奥まで抱きしめて】はお袋が死にそうだって妹から連絡が入って、
前の親父の時もそうだったけどレコーディングだから行けないって。
一回止めたらとんでもないことになるから。
朝からずーっとハーモニカを吹いて録音して、コーラスも全部完成してたんだよね。
ハーモニカの演奏を100回くらいやったかなあ・・・暫く唇も腫れて舌先もブツブツが出来て大変だった。
出来た!って思ったら3時間後くらいにお袋が死んだって」



「なんでこの話をしたかって、お袋が俺にハーモニカを教えてくれた先生だったから。
俺が小学校の時に、ふるさととか、そんなのを教えてくれて。
そんなだから今やってる僕の音楽は大嫌いでした。でも心の片隅ではいつも応援してくれてたと思います。
【寝図美よこれが太平洋だ】っていう曲が一番好きで聴いていたような話をしてました」



ギターを持ってきたローディーさんを紹介して、クライマックスに向かって、
生ギター二郎で次々と激しいナンバーを繰り出していく。
【ア!ウ!】
【君にふにゃふにゃ】
【踊ろよベイビー】


続けて3曲、MC挟んで少し休んでもいいと思っても、エンケンさんは尚も過酷な状況にその身を置く。
生ギターを一郎に交換して【満足できるかな】のイントロが始まると、
重く厳しい目を持った京都の音楽ファンでも流石に手拍子でエンケンさんを応援する。
圧巻のギロチンスクラッチで斬首もえげつなくキマった!!


生ギター二郎に持ち替えて【フォロパジャクエンNO.1】
もう体力も限界だろうからよせばいいのに、更に続けて【夜汽車のブルース】!!
生ギター激弾き!ハーモニカ爆吹き!!
猪突猛進!獅子奮迅!驀進する巨大な夜汽車が迫ってくるのが見える!!!
音楽と心中する位の気持ちが無いと、絶対に生ギター1本でこれほどの音圧を産み出すことは
不可能だろう・・・。



渾身の絶叫を残し、ドラムのシンバルを思いっきりバシャーン!!と叩き退場。
会場からはアンコールを催促する拍手鳴りやまず、エンケンさん再登場。


ヤマハFG-180一郎で【夢よ叫べ】
会場にいる一人一人に伝わるように観客と目を合わせながら、一音一句丁寧に心を込めて
大切に抱き締めるように歌う。力の宿った瞳が輝いて美しい。
最後のキメである絶叫大回転は、限界まで声を延ばしてグルっと大きく一回転。
会場、大きな拍手。



フラフラとピアノの前に座り、ガラガラの声で振り絞るように、
「今日は本当に来てくれてありがとう。明日は大阪で明後日が名古屋です。
今日はもう・・・最後の状態になってます。明日明後日、声が出るのか心配です。
でもエンケンはちゃんとやります」
最後まで本当によく頑張ったエンケンさんに惜しみない拍手が贈られる。



「女の人は幾つになっても、綺麗だねって言われたいっていう気持ちが可愛いなあと。
その気持ちを無くしたらやだなあと思ってこの曲を作りました」


アルバム最後の曲でもある【美しい女】
エンケン自身の激しい戦いを見聴きすることで、観客もまた己と対峙する厳しいライブ。
最後の優しいインストゥルメンタルに「よく頑張ったね」とよしよし頭を撫でられた気持ちが残った。



ピアノから立ち上がり客席に向かって大見得を切るエンケンさん!
観客の拍手にテンションが上がったのか、ステージから降りて客席奥まで突っ込んでいく!!
そのまま「うおーッ!!」と叫んで2階の楽屋まで走って消えた。
最後までパフォーマンスに手を抜かないエンケンさんに温かい拍手が贈られ、ツアー初日終了。

















PR
遠藤賢司ファンサイト【純音楽錦模様】
このブログはサイトパーツの一部として使用しています。

忍者ブログ [PR]