忍者ブログ
[35] [34] [33] [32] [31] [30] [29] [28] [27] [26] [25]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

3月20日(祝・春分の日)  東京・渋谷:B.Y.G
「遠藤賢司・弾き語り ひとりぼっちの純音楽 ~其の18~」
【出演】遠藤賢司 

客席は大入り満員。立ち見や狭い会場のステージ奥のドラムセットの横まで観客が入っている。
会場に流れるBGMが高まり、そろそろ開演時間かな、と心の準備を始めようとした矢先に、
突然空間を切り裂く爆音が鳴り響いた。
エンケンさんグレッチ・ホワイトファルコンを弾きながらのご登場!
ペグにはお守りが2つと、キラキラの飾りが付けてある。
ボリュームやトーンのツマミやピックホルダーにもキラキラがデコってあって、
ちょっとギャルちっくな装飾が施してある。



【不滅の男】
大入り満員の会場段差になってる2階席の行けるところまで行って、爆音ギターを轟かす!
弾きながらステージに戻り、今度は多分ステージが見難いであろう位置の客席奥まで行っては、
観客の本当に目の前で「聴けー!!」とばかりにギターを掻き毟って見せる。
ファンを大切にする姿勢と、見せたい!聴かせたい!という意欲旺盛なパフォーマンスに拍手で応える観客。
終盤、口上の後は高く足を上げて、圧巻の四股踏み三回×3セット合計9回を披露!



続けて【ちゃんとやれ!エンケン!】
まだライブは始まったばかりだというのに、もうクライマックスのようなテンション!
ギターを弾きながらドラムに移動し、バスドラが地響きのように攻めてきたかと思うと、
和太鼓のリズムで村の祭りの盆踊りとお正月と地震雷火事親父等々の天変地異が
いっぺんにやってきたかのような恐ろしい大騒ぎが展開される。

喉が裂けて血が出そうだ!
ギターを掻き鳴らす爪が剥がれそうだ!
ドラムスティックを鷲掴みで握る手の皮がずるりと剥けそうだ!
エンケンさんは体力精神力の限界まで十分頑張っているのに、更に「ちゃんとやれ!」と自身に叱咤し続ける。



演奏後ハァハァと息を切らし、呼吸を調えながら生ギターヤマハFG-180を爪弾き静かに語り出す。


「俺の生まれる2年前に太平洋戦争が終結して、首謀者は死刑になることも無く、
そして1億総懺悔といった。
今放射能と一緒に瓦礫とお金の流れが全国に散らばる。
ボランティアとは言えお金が動く。
1億総懺悔と言いながら国民一人一人の、もしかしたら俺も加担したかも隙間に乗じてお金は流れていく」


「変な国だ。俺の音楽は全部俺に責任がある。
中小企業が物作りに失敗して、潰れた時に一億総懺悔をするのか。
皆一人一人責任を持ってお金を貰ってる。
だから東電は死刑だ」




【君の夢はどんな夢】
珍しい選曲。「10年ぶりくらいにやりました」とのこと。
先程の鬼気迫る演奏とはまるで別人の、優しく繊細な呟くような歌唱。
生ギターの音色も爪弾く毎に、太陽の暖かさと風を生み出すようにとてもとても優しい。



生ギターヤマハF-180三郎に持ち替え、激しいナンバーを続けて4曲も熱唱!!
【黄色い猿】
【ビートルズをぶっ飛ばせ!】
【フォロパジャクエンNO.1】
【史上最長寿のロックンローラー】


2006年に発売された名盤『にゃあ!』から【黄色い猿】 【ビートルズをぶっ飛ばせ!】
「黄色い猿が踊っているよ 名誉白人面して」
「翻訳 薀蓄 垂れ流し 奴隷根性丸出しだぁ!!」

激しい【フォロパジャクエンNO.1】の後に【史上最長寿のロックンローラー】が、
かなり早いテンポでの浪曲ハードロック大巨編が展開される。
「たまや~!」「かぎや~!」ボカーン!と大きなストロークとギターを揺らすことで、
花火が上がって爆発する様を表現したりする等、音で情景を描く工夫が沢山施されていた。
「うわっはっはっはっはっは~!!」と、ロブ・ハルフォードに対抗したかのような
ヘヴィ・メタルのハイトーンシャウトに近い笑い声を発している時のエンケンさんの表情が、
 

歌川国芳が描いた『梅初春五十三駅』の化け猫にソックリだった(笑)凄い迫力だった!!

 


ハァハァ息を切らしながらフラフラと立ち上がってピアノの方に向かおうとするエンケンさん。
そこをギター交換の為にステージに上がったローディーさんに進行表を渡されて、あっとなる。
「歌ってる最中に、次はピアノだな。少し休めるなって思って・・・」会場、笑。
少しくらい休んだって構わない、むしろちょっとぐらい休んで下さい、と思う・・・。




「次の曲は白泉社というところで荒井良二くんの絵と共に、絵本になりました。
絵本を出した当時は、若奥様が子供を連れて、1回につき3人は来てくれました。
でもそれ以降、パタっと来なくなりました」会場、笑。

「でも、それで良いんです。僕は僕の音楽でずっとやってるから。
絵本のような音楽をやって上手く続く人もいるけど、僕は飽きちゃうから」



「フォロパジャクエンNO.1で歌ったように、色んな音楽を、フォークもロックも演歌も僕の中では同列です。
良ければ良いと思ってます。日本の音楽はつまんないのがほとんどです。
でも好きな音楽は宗教だと思ってます。どこかで救われるんだなと。」



「最近FM放送をよく聞いてる。大沢悠里さんの声が優しい。
番組の最後に今日のスタッフの名前とか、丁寧に全部言ってくれるんだよ。
そこが一番ジンとくるかもしれない。
AM放送は今一番張り切ってて良いなあと思います。張り切ってるなあって思った時に
スポンサーがドンと来て、またスーっと沈んだら嫌だなあ」




「相当眼を瞑って歌うと思うけど」とマーチンD-18で【ボイジャーくん】
音で絵を描くのにも相当な集中力を要するのだろう。
非常に多彩な表現技術が作品中に盛り沢山に詰み込まれていて、
ハーモニカと生ギターだけの穏やかな暖かい曲なのに宇宙の壮大さを感じることができる、改めて凄い曲だ。



続けて【Hello Goodbye】
静かな囁きから切れ味鋭いカッティングが強力。



今度こそピアノ曲、と会場の笑いも誘いつつ、ピアノに移動。

【 もうちょっとだけ頑張ってみようかな …2011年3月14日月曜晴れ…】
会場の空気が張り詰めたように静か。
本当に耳を澄まさないと聴こえないくらいに、消え入りそうにか細い独白。
天災人災が重なり、明日をも知れず音楽家生命を絶たれたかという絶望から、
ピアノの音色が繊細に、また時に激しく、もうちょとだけ頑張ってみようかな・・・と心が起き上がる様子を描く。



演奏後に「象形文字でいつも歌ってます。そんなエンケンを最後までお楽しみ下さい」会場、拍手。



「昨日部屋でたまたま、去年ここでやった時のチラシが出てきました。」
2011年3月21日、エンケンさんが震災後初めてBYGでチャリティーライブを開催されてから1年。
あの大震災で日本中が落ち込んでしまった。
同じように気持ちがズンと落ち込んでしまったエンケンさんが、色々な葛藤の末に
開催を決心されたライブだったから、チラシも資料としてのみならず特別な物となったのだろう。



告知を交えつつ、5月の渋さ知らズオーケストラとの対決に負けません。来て下さい、と。
「どんどん来て、私を食わせてやって下さい。皆一人一人自分の仕事で食っていきましょう」




【エンケンがやってくる!】と【俺が死んだ時】を2曲続けて三郎で。



「日本の音楽は凄いんだよってことが言いたいんだ。俺も含めてね。
ボブ・ディランもニール・ヤングも良いし、何でも良い音楽が好きなんだ。
もっと素直に聴けば良いと思う。この国は。
俺は誰とやっても勝てる自信がある。ブラック・サバスとやっても勝てる自信がある。
AC/DCとやっても生ギター一本で勝てる自信がある」



「なんか変なんだよこの国は。なんでも向こうの方が良いと思ってる。もっと素直になればいいのに。
日本が嫌いだったら、日本なんか無くなっちゃえばいいんだよ。
嫌いな人が多いんだよね。素直になればいいのに。親不孝が多いんだ」



「史上最長寿のロックンローラーは、勲章貰うとか言ってるけど、貰わないよ。
でもそういうジジイがいても良いと思ってる。自由だから。でも貰ったら親が喜ぶだろうなって思う。
昔その事でエンケンさんはなんでそんなこと言うんですか?って聞かれたけど、別に、小説だから」



「不滅の男を歌ったのは、漫画家の浦沢直樹くんが2~3Pの短い漫画を描いてくれて。
頑張れって言葉は、人類がビックバンから45億年ずーっと培ってきた宝物の言葉なんだよね。
「頑張れ」っていうのは、自分に対して言うのが正しいと思ってるし、でも本気で人に言う時は
「お前も頑張れよ!俺も頑張るから!」っていう気持ちがあるなら頑張れってどんどん言って良いと思う。
頑張らないって初めから言う奴は嫌いだな。頑張らないんだったら最初から黙ってろ!
得意気に言う国も嫌だ。頑張れよ!どうせ生きるんだから」



「黄色い猿でも歌ったけど、いつまでも名誉白人面して、この国はやってくんだろうね。」




「トシちゃんとか聖子ちゃんとかキャンディーズとか、皆名作だよ」




「良い音楽はなんだって良いんだよ。どんな音楽でも分け隔てなく聴いてる。
小学校の先生がずっとクラシック聞かせてくれて・・・
変だなと思うのは、教室にベートーベンとかモーツァルトとかの絵が偉そうに御真影のように飾ってある。
あれは一体なんだったんだろう・・・」


「褒める事と言えば、モナリザとかロダンとかどうだっていいよ!
だったら麗子の微笑みとかの方が、俺はずっと大事だと思ってるよ。象形文字で笑ってくれてるよね」



【ブルースに哭く】と【心の奥まで抱きしめて】2曲続けて一郎で演奏。

【心の奥まで抱きしめて】
「郷ヒロミのアチチと対決した」のだそうです。
狂おしい恋心を喉も裂けよと声を振り絞る。
流石に疲れが出てきたか、と思ったところで更に命を削って歌うエンケンさん。命がけの恋の歌。



喉の限界まで声を出したから、声の調子が悪くなってきた。
喉スプレーをシュっと一噴き。プロポリスの香りが漂ってきて、同じ空間を共有してるんだな、と思えた。



「稀勢の里好きだね。俺も茨城出身だからああいう力士が出てくると嬉しい。可愛いよね。
サッカー選手も可愛いね。俺も何かあったらサッカー選手になる!」
いやいや!何かって何もありませんから!音楽家でいて下さい!!

「毎日のように鈴木慶一からサッカーのお誘いが来る。
なでしこJYPANも可愛いよね。カッコイイよ!男、女じゃなくて一生懸命やってる奴は。
男のサッカー選手で時々女のサッカー選手を馬鹿にする人いるけど、そういうの大嫌いだな」



【踊ろよベイビー】と【満足できるかな】2曲続けて一郎で演奏。
全体的に静かに聴き入っていた観客も、手拍子で盛り上がる!
しかし遠藤賢司独特の音世界の前に、徐々に手拍子など忘れるほど集中して聴きこんでいく。


三郎に替えて【夜汽車のブルース】
豪速で巨大な蒸気機関車が迫ってくる画が見える!
生ギター一本で演奏されていることが信じられない程の重い音圧!
けたたましいハーモニカの汽笛と踏み切りの遮断機の赤い点滅まで感じられるなんて!



演奏後大きな拍手に包まれて、エンケンさんご退場。
アンコールを催促する拍手が止まず、エンケンさん「にゃお~ん」と鳴きながら猫ポーズで再登場。



【夢よ叫べ】
心を込めて、観客一人一人としっかりと眼を合わせて歌う。
奇跡的に喉の調子も戻ってきていて、ラストの大見せ場である絶叫大回転は、
2回転くらいは回れるであろう長~~く声を延ばして延ばして、ゆぅ~っくり一回転を成功させた!



ピアノに移って【美しい女】
「最後まで静かに聴いてくれてありがとう」と頭をよしよし撫でられたような気持ちになる、優しい優しい音色。


客席に正面を向いて立ち上がり、スゥウ~・・・ハァァア~・・・と眼を閉じて深呼吸。
カッっと眼を開いてからは額に青筋立てて「キエェ~ッ!!!」と奇声を発しての大見得を披露!
のっしのっしと肩を怒らせながらご退場。会場は暖かい拍手で満ちた。











































PR
遠藤賢司ファンサイト【純音楽錦模様】
このブログはサイトパーツの一部として使用しています。

忍者ブログ [PR]